Another Orion

コロナ禍、まったく明ける見通しが立ちませんね。
家にいる時間が増えたので、CSで音楽チャンネルを契約してよく見ています。

チャート番組を見ていると、このところシンガーソングライターの優里の活躍がめざましいです。
歌声も楽曲も正統派でまっすぐな感じで、おじさんにもわかる音楽が若い人の間ではやっていることに安心しています。
2020年10月の「ドライフラワー」の大ヒットに続き、2021年11月の「ベテルギウス」もロングヒット軌道に乗っている感じで、この「ベテルギウス」が気に入ってよく聴いています。

ベテルギウス冬の大三角を構成する星の1つで、理科の時間に習っていますし、明るい星が多くて東京の夜空でもきちんと星座として認識できるオリオン座の一等星なので、おなじみの星と言ってよく、曲のモチーフ選びも正統派な感じがします。

なんですけれども。

ベテルギウス」のサビの部分でいちばん盛り上がるところの歌詞がこれなのですが(作詞・作曲:優里)、
https://www.uta-net.com/song/310126/

遥か遠く終わらないベテルギウス

この一節がどうもひっかかりまして。

ベテルギウスはかなり「老人」の星で、「いつなくなってもおかしくない」と言われている、というイメージがありまして。
https://www.asahi.com/articles/ASN1K0JFVN16ULBJ009.html
最近の報道では、「そこまですぐにはなくならないのでは」とも言われているようですが、それでも「終わらない」星、という表現をするなら、もっと適任な星があったのではないかと。
https://www.asahi.com/articles/ASP6C5RLNP2VULBJ017.html
もし楽曲を発表した直後にベテルギウスが爆発していたら、どんな顔で「終わらないベテルギウス」と歌っていたんでしょう。フ○ミ通町内会に「タイムラグを恐れず森○子ネタを載せ続ける町内会に乾杯」的なネタが載っていたことが思い出されます。

「どんな星にも終わりはあるので、逆説的にベテルギウスのことを『終わらない』と描いているのでは?」という考え方もあるかと思います。
実際、この曲の2コーラス目では、

どこまで いつまで 生きられるか
君が不安になるたびに強がるんだ

と歌っていますが、それではこの曲の最初と最後の歌詞をご覧ください。

空にある何かを見つめてたら
それは星だって君がおしえてくれた

どうですかこれ。言語を運用できる発達段階に達しているのに、登場人物Aは空にある光るものが星だと知らないし、登場人物Bは新情報として「それは星だ」と教えているんです。どういう状況なんですかこれ。
いや、好きな曲なんですよ。ただ、「これ、なーんにも考えてないのでは?」という疑念が消えなくて。

さらに、サビの歌詞をご覧ください。

輝くのだって 二人だって 約束した

僕ら 肩並べ 手取り合って 進んでく

それなら、地球から見ると1つの光に見えるけど、実際には2つの星であるスピカでよかったんじゃないでしょうか。さんざんコスられてるけど、それは別に優里というシンガーソングライターの魅力を損なうことにはならないと思うんです。
スピカは地球から250光年離れているそうなので、

何十年 何百年 昔の光が
星自身も忘れたころに
僕らに届いてる

というBメロの歌詞と矛盾もなさそうです。

私の好きなバンドのPlastic Treeに「スピカ」という曲があり、以下のように歌い出します(作詞・作曲:有村竜太朗)。
https://www.uta-net.com/song/51387/

ふたつある星を ひとつの名前で呼ぶって
たしか君から聞いたな

どうですか、「それは星だ」より、だいぶ人間らしい営みに聞こえるのではないでしょうか。

 

ということをせっせとブログにしたためるようになったら、完全な老害ですよネ〜。